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シャシーシステムロードマップ ステアバイワイヤの実現に向けて

Clément Feltz | Simon Sagewka | Benjamin Severin | Markus Stiegler

自動車業界に押し寄せる大変革の第2波、それが自動運転である。シェフラーは、早ければ2035年までに、生産される自動車の4台に1台は自動運転レベル3(SAE L3)以上になると予想している。安全性と快適性の要件に変化が生じるだけでなく、インテリアデザインも一新され、全く新しい車両コンセプトにつながる可能性もあると考えられる。

自動車業界では、ステアバイワイヤが自動運転の前提条件と考えられている。この技術の普及を支援するため、シェフラーは革新的なメカ部品やシステム開発だけでなく、前輪・後輪のバイワイヤ ステアリング制御装置の開発も行っている。「インテリジェント リアホイールステアリング」(iRWS)は2022年に量産化が予定されている。前輪のステアリングに関しては、商用車向けの「電動油圧式パワーステアリング」(EHPS)から開発を始めている。このEHPSは、前輪のバイワイヤ製品(少量生産向けのステアバイワイヤで後付のアドオンシステム)である「Space Drive」での経験と知識をベースに開発されたものである。更に、革新的な量産車搭載用「インテリジェント フロントホイールステアリング」(FWS)は、量産車の従来ステアリングシステムを完全に置き換えることを目指し開発を進めている。この設計により、完全自動運転車両では自動運転モード中にステアリングホイールがダッシュボードに完全に格納でき、これまでにない広い室内スペースが提供できるようになる。

シャシ技術開発ロードマップ

シェフラーは長年にわたり、ホイール軸受、ストラット用軸受、アンギュラ玉軸受、ユニバーサルジョイント軸受などの各種部品のサプライヤとして自動車メーカのシャシ開発をサポートしてきた。この長年の実績をもとに、さらに高度なシステムを目指した技術開発ロードマップを策定し(図1)、シャシ開発活動を推進している。ロードマップは、高精度メカ部品を出発点とし、メカトロニクス製品からステアバイワイヤへと拡大、最終的には全技術を統合し一台のローリングシャシを実現するというものである。

図1 シェフラーのシャシ技術開発ロードマップ
図1 シェフラーのシャシ技術開発ロードマップ

バイワイヤシステム開発において重要な役割を果たす製品について以下で詳しく説明する。いずれも、シェフラーのコア・コンピテンシー(中核技術)と今後のシャシ開発活動の実例である。「コーナーモジュール」、「ローリングシャシ」、「マトリクスチャージングシステム」の設計開発については、別論文でも紹介している[1]。

ボールねじドライブ

シャシ技術開発ロードマップ上の起点となる製品はボールねじドライブである。工作機械の製造技術をベースとし、2009年に市場投入された。電動ステアリングや電動ブレーキなど、数多くのシャシーシステムに採用されている。高精度の機構はシェフラーのコア・コンピテンシーの証であり、シャシ製品の開発に大きく貢献している。また、ボールねじドライブは、従来の油圧パワーステアリングの代替として、快適性向上と低燃費の実現に貢献している。4点接触玉軸受を一体化することで、搭載スペース最適化にも役立っている(図2)。

図2 ボールねじドライブ
図2 ボールねじドライブ

アクティブロールコントロールシステム

シェフラーの電動アクティブロールスタビライザは、2015年に量産が開始された(図3)。48V仕様として量産された世界初のシャシ用途のアクチュエータであり、ドイツ・イノベーション・アワード2016(大企業部門)も受賞した。この電動アクティブスタビライザが車両ロール角を抑えることにより、ドライバは従来のスタビライザに比べ車両安定性が格段に向上したと感じることができる。車両の運動性能と安全性向上だけでなく乗心地も向上している。

図3 アクティブロールコントロールシステム
図3 アクティブロールコントロールシステム

インテリジェント リアホイールステアリング

航続距離の長い電気自動車の需要拡大にともない、車両下部に搭載されるバッテリの容量も増大し続けている。その結果、内燃機関のエンジン車と比べてホイールベースが長くなり、車両の全体的な取り回し性が低下する(=回転半径が大きくなる)。後輪ステアリングシステムは、前輪のステアリング操作と反対方向に後輪を転舵することで、回転半径を小さくし、車両の取り回し性を向上させることができる[2]。高速走行時には、後輪を前輪と同方向に転舵させ、車両の安定性と乗心地を向上させるとともに、車両の安全性を高めることができる。また、車線変更自動アシストシステムを積極的に活用できるようになることも期待される。

後輪ステアリングシステム開発に際しては、シェフラーの強みとコア・コンピテンシーのほか、メカトロニクスで培ってきた経験が活かされている。シェフラーはインテリジェント リアホイールステアリング(iRWS)により、システム全体を提供できるようになり、ステアリングシステムサプライヤとしての第一歩を踏み出した(図4)。

図4 インテリジェント リアホイールステアリング (iRWS)
図4 インテリジェント リアホイールステアリング (iRWS)

iRWSは、遊星ローラーギア(PRG)をベースとする機械系と、電子機器、電動モータ、ソフトウェアを搭載したパワーパックの2つのサブシステムで構成される。シェフラーは、システム全体に責任をもつだけでなく、車両システムへの組み込みも行う。

iRWSは、システムの安全性に関する要求がきわめて高いASIL(Automotive Safety Integrity Level)Dの要件を満足するように開発されている。システムに機能障害が発生した場合でも後輪の制御不能な動作を発生させてはならない。故障発生時には、後輪ステアリングシステムはセルフロックし、ステアリング角度を「フリーズ」させる必要がある。シェフラーは、この高いシステム安全要件を満たすために遊星ローラーギア(PRG)を採用した(図5)。競合他社で多く用いられる台形ねじドライブと比較して、PRGは高効率とセルフロック機能を両立できるというメリットがある。

図6は、効率と力の関係を示すグラフである。セルフロックの限界が赤破線で示してある。台形ねじドライブ(グレー曲線)の効率は著しく低いが、反面、セルフロック性を元より備えている。遊星ローラーギアでは、効率とロック特性には遊星ギアと支持軸受の与圧が大きく影響する。セルフロックが必要でなければ、80%程度の効率が達成される(薄緑曲線)が、シェフラーのiRWS設計(濃緑曲線)では、高精度なベアリング技術を用いて必要とする与圧をかけることにより、高効率とセルフロック特性との間でベストな妥協点を実現している。

図5 iRWSの遊星ギアトランクションドライブ
図5 iRWSの遊星ギアトランクションドライブ
図6 遊星ローラーギアと台形ねじドライブの効率とセルフロック力
図6 遊星ローラーギアと台形ねじドライブの効率とセルフロック力

パワーパックは、電動モータと駆動用エレクトロニクスで構成される。ソフトウェアは基本ソフトウェアとアプリケーションソフトウェアを統合したもので、駆動用エレクトロニクスに実装される。シェフラーは、アクティブロールスタビライザなどこれまでの開発プロジェクトで得た知識を活用し、アプリケーションソフトウェアを自社で開発した。後輪舵角指令値の制御モジュールもこれに含まれる。一部のプロジェクトでは、車両側の上位制御の範囲まで組込みを行っており、運転状況に応じた最適な後輪舵角を各車両のパラメータに基づいて計算することができる。

EHPS用メカトロニックパワーパック

電動油圧式パワーステアリング(EHPS)は、商用車の前輪を操舵するために専用に設計されたもので、油圧ユニットとパワーパックで構成される。シェフラーは、パワーパック(図7)の開発とシステム全体の統合を担当。これは、シェフラーが前輪のステアリングシステムサプライヤとして次の一歩を踏み出したことを示す製品である。このEHPSは2023年に市場投入予定である。

EHPSパワーパックは、ASIL Dの要件に沿ったフェイルオペレーショナルなシステムとして開発された。従来のパワーステアリングに制御トルクを加えることで、ステアリングシステム全体を電子制御することが可能になり、運転の安全性と快適性が向上するだけでなく、自動運転機能の搭載も可能となる。

図7 シェフラーの電動油圧式パワーステアリング (EHPS)
図7 シェフラーの電動油圧式パワーステアリング (EHPS)

ステアバイワイヤ・ソリューション

シェフラーの前輪用ステアバイワイヤシステムの開発は、シェフラーのSpace Driveアドオンソリューションの高度な開発をベースに行われている。また、これまでのシャシーロードマップに中で培った多くの経験と専門知識も活用し、量産車への搭載用のシステムである革新的なインテリジェント フロントホイールステアリング(FWS)システムの開発も進めている。

Space Drive

2018年以来、シェフラーは革新的なSpace Driveコンセプトのさらなる発展・進化に取り組んできた。この技術は、元来、身体障がい者が自動車を自分で運転し完全にコントロールすることを可能にするために開発されてきた。このSpace Driveを搭載した車両は、現在までに10億km以上をトラブルなく走行している。この技術は、モータースポーツの世界でも実証されている。例えば、GTCシリーズ、ドイツ・ニュルブルクリンク24時間耐久レース、DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)などである。そして将来的には電気自動車レース「DTMエレクトリック」にも参戦予定である[3]。

自動車のステアリングシステムは、その機能が交通安全に直結するシステムの1つである。Space Driveは、電子機器アーキテクチャに二重の冗長性を持たせることで安全性の技術的要求を満たしている。万一、1つのコンポーネントが故障しても、2つのバックアップシステムによってステアリングの基本的な機能を維持することが可能である。

現在の製品Space Drive 2アドオンでは、車両と組合せて個別に公道走行が認可されている。次世代システムSpace Drive 3アドオンでは、操作感覚やブレーキやステアリングの作動効率の最適化を行う予定である。また、この機能最適化のみではなく、システムとしての認可を重要な開発目標に置いている。そのためには、開発プロセス全体を通じてAutomotive SPICE要件を満たすことが必要となる。また、この開発過程において、シェフラーは車両組込みを簡素化し、少量生産車へSpace Drive技術をより搭載しやすくする予定である。

図8 シェフラーのSpace Drive 3とアクチュエータ技術
図8 シェフラーのSpace Drive 3とアクチュエータ技術

量産車搭載用バイワイヤ・ステアリングシステム

シェフラーのインテリジェント フロントホイールステアリング(FWS)システムは、量産車両にシステム全体として搭載すること目指し開発を進めているステアバイワイヤシステムである(図9)。将来の車両プラットフォームにおいて、従来の機械式ステアリングを完全に置き換え、車両への組込み設計の自由度と柔軟性を高めることができる。このシステムは、前輪を転舵するためのモジュールであるロードホイールアクチュエータ(RWA)、およびハンドホイールアクチュエータ(HWA)で構成される。HWAがステアリングホイールの角度に応じて前輪の舵角を決定し、RWAがこの舵角に基づき前輪を転舵する。HWAは、RWAからの反力を模擬したステアリング反力をドライバに伝える。

FWS開発のポイントは、ステアバイワイヤシステムの機能低下の考え方である。一つ目の故障が発生した際、システムが安全な状態を維持するだけでは不十分であり、ステアリング機能を問題なく維持しておく必要がある。2回目の故障以降は、機能が低下したとしても車両を安全に停止させる必要がある。すなわち、乗員や他の道路利用者を危険にさらさないようにすることが必要となる。シェフラーは、Space Driveで培った豊富な機能安全分野での経験をもとにFWSアーキテクチャを実現している。

図9 量産車搭載用FWSバイワイヤ・ステアリングシステム
図9 量産車搭載用FWSバイワイヤ・ステアリングシステム

ハンドホイールアクチュエータ

ハンドホイールアクチュエータ(HWA)(図10)は、ステアリングホイールに接続され、ステアリングホイールの角度を電気信号としてRWAに伝達する。また、HWAはドライバが車両の向きをコントロールするのに必要なステアリング反力をドライバに伝える。高度な自動運転機能(SAE L4)を装備する車両の新しいコンセプトに対応するため、HWAはステアリングコラムをダッシュボードに格納できるだけの十分な可動距離を持つよう設計されている。完全自動運転機能を持たない車両向けに、格納機能のないHWAも計画中である。シェフラーではこれらの異なる仕様を最適に実現するために、HWAを2つのサブシステムに分割した。フォース フィードバックアクチュエータ (FFA) がステアリング ホイールの角度を決定し、ステアリング ホイールに反力を発生させる。一方で、ステアリング ホイールの可動機構は電気的に調整可能なコラム (EAC) に組み込まれる。シェフラーは Autoliv 社とも協力して、格納式HWA、パッシブ セーフティ、そしてインテリア デザインも含めて安全性に関する相互作用を分析し、包括的なアプローチでこの革新的開発を推進している。新しいインテリア コンセプト、格納式ステアリングホイール、さらに斬新なステアリング ホイール デザイン (ステアリング ヨークなど) が採用された際に、 エアバッグの安全保護効果をどのように担保するかという研究も行なっている。

図10 ハンドホイールアクチュエータ (HWA)
図10 ハンドホイールアクチュエータ (HWA)

電動調整式コラム

HWAは電動調整式コラム(EAC)(図11)により位置の調整が可能で、その機構によって現在では200 mmを超える長い可動範囲が確保されている。EAC開発にあたっては、シェフラーのコンセプト設計、エンジニアリング、板金部品製造における広範な経験、更に量産組立のノウハウが活かされている。EACの中核要素は、頑丈な八角形チューブを形成する接合鋼板である。構造の寸法と設計は、マルチボディシミュレーションやモーダル解析など、さまざまな計算手法で検証されている。衝突性能やNVH特性も、ハードウェアでの検証前にシミュレーションで検証を実施している。

図11 電動調整式コラム (EAC)
図11 電動調整式コラム (EAC)

EACの技術的な特徴は、大型アンギュラ玉軸受の採用である。ステアリングシャフトをガイドするこの軸受は、従来の樹脂製部品がスチール製に置き換えられ、ステアリングホイールにより発生する力とねじれモーメントを吸収する。バックラッシュがなく、ステアリングシャフトがしっかりと支持され、かつ摩擦も少ないため、スムーズかつ正確なステアリング操作が可能である。

ステアリングホイールの格納(前後移動)は、ダブルエクステンション機構により実現される。この機構は、チューブ状の部品が互いに内側に収まるように配置され、調整中はあらかじめ決められた動きに従って、互いに連結したり前後移動したりする。ロック機構の動作原理は、内側チューブに取り付けられた転がり軸受をばね力で外側チューブに押し付けていることを利用し、軸受が凹部に嵌合してチューブの軸方向の動きを止めるものである。ステアリングホイールが凹部を通過すると、チューブのロックが順次解除され、必要位置に達したところで次のロックが作動する。シェフラーは、アンギュラ玉軸受とロック機構とを組み合わせ、わずか2つの駆動モータだけでEAC設計を実現した。

チューブは特殊なリニアボールベアリングで支持される。ボールはディスク型の保持器によってガイドされ、オーバル形の軌道上を転がる。この全体的な設計により、バックラッシュのないスムーズで静かな軸方向のチューブの移動が可能となった。

フォースフィードバックアクチュエータ

図12は、従来のステアリングシステムにおいて、走行時に発生するステアリングトルクと速度を示したものである。ステアリングトルクが高くなるのは、ロックするまでフル転舵した時や、ドライバが車両を降りる際にステアリングホイールに体重をかけた時、またはホイールが縁石に接触した際にステアリングを瞬間的に保持した時であるが、こうした場合の作動速度は比較的低い。一方、ダブルレーンチェンジの際などにドライバは非常に速いステアリング動作を行うが、トルクは低い。ステアバイワイヤシステムで従来のステアリングシステムと同様の操作感覚を得るためには、フォースフィードバックアクチュエータ(FFA)が作動トルクとステアリング速度をできるだけ正確にドライバに伝える必要がある。しかし、作動トルクが大きくなると必要となる力も増加し、パワーパックが大型化することになる。

この理由から、シェフラーは現在、2種類のFFAの開発を進めている。いずれも量産化に向けた準備が進行中である(図13)。1つはダイレクトドライブを採用したコンパクトなシステムである。最大フィードバックトルクは15 Nmで、図14に示す要件の大部分に対応している。トルク生成用モータはFFA背面のステアリングシャフトに軸方向に配置され、最小限のスペースで車両に搭載可能である。一方、ウォームギアを使用して電動モータでフィードバックトルクを発生させる高性能FFAの開発も進めている。最大35 Nmの高トルクを発生でき、システムは図14のすべての条件に対応することができる。ただし、モータがFFAの側面に搭載されることがスペース的な欠点である。

図12 ステアリングホイールの作動トルクと速度
図12 ステアリングホイールの作動トルクと速度
図13 反力トルク用電動モータ一体型FFA(左)とウォームギアを介したサイドマウントドライブ(右)
図13 反力トルク用電動モータ一体型FFA(左)とウォームギアを介したサイドマウントドライブ(右)

ロードホイールアクチュエータ

FWS搭載車では、これまでのステアリングラックギアがメカトロニック ロードホイールアクチュエータ(RWA)(図14)に置き換えられる。シェフラーでは、市場の要求に出来るだけ幅広く答えるため、メカニカルな機構要素とパワーパックとの2種類のモジュール化を行い、システム開発を進めている。

メカニカルな機構要素については、中・小型車向けにピニオンギアを採用したRWAをパートナーと共同開発中。このユニットは60~90 mmの可動範囲と40~60 mm/sの動作速度を実現できる。高級セダンやピックアップトラックなどの大型車両向けには、必要な力を発生させるためにボールねじドライブを採用し、可動範囲は±110 mm、動作速度は140 mm/sである。こちらの製品は自社開発しており、シェフラーがボールねじドライブの開発・製造で培った長年の経験が活用されている。これらのユニットの一部は、すでにティア1サプライヤのEPSステアリングシステムに採用されている。

シェフラーのモジュールシステムでは、パワーパックに関しても幅広い要求に対応する。今後の車両アーキテクチャのすべてに対応するため、12Vと48Vの両方の仕様の開発を進めている。

図14 ボールねじドライブのメカトロニック ロードホイールアクチュエータ (RWA)
図14 ボールねじドライブのメカトロニック ロードホイールアクチュエータ (RWA)

まとめ

シェフラーは、車両のシャシ設計が抱えるこれからの課題の解決に向け、重点開発戦略を採用している。この戦略における最初のマイルストーンとなったのは、2015年に市場投入したメカトロニクス製品「アクティブロールコントロールシステム」である。これに続き、2022年に量産化が予定されている「インテリジェント リアホイールステアリング」(iRWS)、さらに2023年には、商用車向けの「電動油圧式パワーステアリング」(EHPS)の量産化が予定されている。

前輪のステアバイワイヤ製品として、シェフラーは革新的な「インテリジェント フロントホイールステアリング」(FWS)を開発している。この製品は、シェフラーがアドオンシステムとして今も改良を重ねている「Space Drive」をベースに開発されたものである。FWSは、機械的な連結を有する従来のステアリングシステムを完全に置き換える量産車搭載用のシステムである。これまでのステアリングラックギアは、メカトロニック ロードホイールアクチュエータ(RWA)に置き換わる。シェフラーは、2種類のRWAシステム、12Vおよび48V仕様を揃え、幅広い車両クラスの多様な性能要求に応えてゆく。

FWS 用ハンドホイールアクチュエータ(HWA)は、2つのサブシステムで構成される。一つはフォースフィードバックアクチュエータ(FFA)で、ステアリングホイールの操舵角を検知し、ステアリング操舵反力を発生させる。もう一つがEAC(自動調節式コラム)で、ステアリングホイールの可動機構が組み込まれる。シェフラーでは現在、2種類のFFAの開発を進めている。1つはダイレクトドライブを採用したコンパクトなシステム、もう1つはウォームギアを使用した高性能FFAである。EACにはダブルエクステンション機構が採用され、ステアリングホイールの前方への可動範囲を最大限に伸ばす設計を行っている。この設計により、完全自動運転車両では自動運転モード中にステアリングホイールがダッシュボードに完全に格納でき、これまでにない広い室内スペースが提供できるようになる。

[1] Böhm, A.; Kraus, M.: The Rolling Chassis from Schaeffler Spearheads New Mobility Solutions. Bühl: Schaeffler Kolloquium, 2022

[2] Steer-by-Wire auf dem Weg zur Großserie. In: ATZ extra “Innovationen für eine nachhaltige Mobilität”, 2019

[3] Schröder, J.; Kohl, D.; Störkle, D.: Development of a Vehicle Concept and Electric Drive System for the All-new Racing Series DTM Electric. Bühl: Schaeffler Kolloquium, 2022

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